東海林利治

東海林利治

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東海林《とうかいりん》と申します。たいあっぷオープニング・コンテストで佳作受賞。キャラクター・コンテストで2作同時受賞。2022.3月に”sony×note×Tiktok”『カクカタチ』プロジェクトにて、朗読劇の脚本を担当。アイコンは拙作『御伽の杜』の猫”リンゴ”です。

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御伽の杜

右眼で過去を想像し、左眼で未来を創造する

御伽の杜

 御伽の杜《おとぎのもり》が一夜限りの音楽会を奏でた。白猫のリンゴは、森に向かって駆けていた。深緑の音を聴きながら、道中を急ぐ。秘境にたどり着き、12匹の猫がそろった。いつかの釈迦の予言を胸に、猫たちは夜空に向かって荒れた世界を救うと誓った。  一方、神楽匠《かぐらたくみ》は、工房で自殺を図ろうとしていた。沖縄の伝統工芸職人として失敗し、全てを失った。死を受け入れた瞬間、リンゴと出会う。リンゴの青と黄色の異なる両眼に魅せられた匠は、もう一度だけ、琉球ガラスやトンボ玉の創作への挑戦を決意する。  作品『リンゴの瞳』が飛ぶように売れ、大手の宝石会社と契約。だが、匠は罠に掛けられ、白猫のリンゴを奪われてしまう。絶望に打ちひしがれる匠は、別れた恋人の晴夏《はるか》と再会する。リンゴを取り戻し、復縁を果たした匠と晴夏。幸せの絶頂に見えた二人を運命の悪戯が待ち受ける。
神の八重奏

その指先は霧を奏で、水を弾く

神の八重奏

 時は、紀元前一年。  インドネシアのニアス島は、深い霧に包まれていた。風琴家《オルガニスト》であるレグロは、16歳の誕生日に『成人の儀式』を受ける。  鍵盤楽器と共に生活するニアス島では、族長グラーベから受ける成人の儀式で演奏に失敗すれば死とされていた。想像を絶する重圧の中、レグロに与えられた楽器は、四段の鍵盤を持つ風琴《オルガン》・四鍵盤だった。  幼馴染のバーチェが見守る中、レグロは驚異的な演奏で試練を乗り越える。グラーベに祝福されるレグロであったが、儀式の終わりと同時に他島の使い魔にグラーベの胸を貫かれてしまう。姉のレスティの旋律によって、グラーベは一命を取り留めたが、完治させられる仲間を求めてレグロはバーチェと一緒に弦楽器のタナーバラ島を目指す。  二人の弦楽器の天才の存在を知ったレグロたちだったが、タナーバラ島は殺人魚カンディルに苦しめられている事実に直面してしまう。
白いカラス

神の皮を被った悪魔か。悪魔に化けた神か。

白いカラス

 『白紙の国への入国を希望する者は、すべての社会的な繋がりを断ち切ること』  フリーのジャーナリスト、白鳥琥太郎《こたろう》に届いた一通の招待状。三河湾に浮かぶ白紙の国は、すべてを捨てた者だけが入国を許される禁足地《きんそくち》とされ、神隠しにでもあうのか、一度入ったら二度と出て来られないという、キナ臭い噂が後を絶たなかった。  出版社を辞めて、自由に書く理想を追った白鳥は、出版業界の最大手・五星《いつつぼし》出版で一つの部署を牛耳るべく、禁じられた地へと足を踏み入れる。  白鳥を待ち受けていた世界は、八百万の神が暮らしている想像を絶する新世界だった――。
この両手に抱えきれないほどの髑髏と薔薇を

七人の指先に宿る力は、希望か、絶望か。

この両手に抱えきれないほどの髑髏と薔薇を

 代々『七人の魔女』と呼ばれる天手《あまて》家の姉妹。  末っ子として生まれた天手日向《ひなた》は小学校の卒業と同時に自宅の地下室に招かれ、そこで一家の「手」に宿る、秘された能力を知ることとなる。  日常と掛け離れた事態に戸惑う中、長女・柚月《ゆづき》から自身の能力による悲劇を語られ、宿命から一度は逃げようとする日向。  ところが、自分の手にはその悲劇を覆す力があると知り、日向は姉の笑顔を取り戻すこと、能力に惑わされずに自分らしく生きていくことを決意する。  そんな中、日向のもとに一つの任務が。過去に囚われたまま、再び悲劇に向き合う長女・柚月と、新たな力を手にし、姉の一筋の光となるべく突き進む日向。  二人は共に任務として依頼人の元に赴くことになるのだが――。  琴線に触れ、ページを捲る手が止まらない。『指切りげんまん、嘘ついたら――』、七人の指先に宿る力は、希望か、絶望か。