美しい女達が住む娼館、そこには恋があった
みなものマリオネット
熱い太陽、美しい蒼き海、密林にたたずむ美しい女ばかりの館。この島を訪れる貴族たちはここを最後の楽園と呼び、館の主、グティエレスを“ 子爵 ”と呼んだ。
貴族たちは美しい女をむさぼり、武器をグティエレスに提供した。そして、グティエレスは貴族たちから仕入れたその武器で、近隣の海を、島を支配した。島民は砂糖畑で働かされ、女は攫われて館で働かされる。この循環をグティエレスは、“ マリオネット ”と呼んだ。
長いトンネルを抜けるとそこは異世界だった
女子大生純文学作家は異世界に転生したくない!?
高橋ひまりは、十八歳の時、自らの青春を小説にし、賞を受賞。大学にも合格し、春に東京に上京。学生生活と文壇デビューを期待した。その幸せは約束されていたはずだった。しかし、突然発生したCOVID-19。世界はパニックに陥り、ひまりは 大学二年の春からずっとリモート授業となり、味気ないぼっちの毎日。勉学による精錬も恋物語(ロマンス)も皆無だった。ほんとうに。
ひまりの心は自然と文学に向き、数多く小説を書いた。それを自分に賞を与えた出版社に持ち込んだ。そしてこう言われる。
「もう純文学の小説は売れない、COVID-19も落ち着いた今、人は出会いを求めている!、マッチングアプリでたくさんの人とデートして体験記を書く!、これで決まりだよ!、『文科系エロ』ってやつだね」
文学まで終わったなんて!
その時、ひまりに声をかける人物が現れた。理工学部の准教授・十郷だった。
「君、異世界に行ってみないか?」
あの時、世界は滅亡するはずだった
夢みるようにあなたと
「あれが後ヶ島(のちがしま)ですよ、君嶋さん」
「後ヶ島、それは?」
「浦島の太郎はあそこで亀を助けたらしいですよ」
その時、曇り空から太陽の陽が奇岩を照らし出した。
「神秘的な光景だ」
「人魚伝説はこの光景をもって生まれたんでしょうね、ただこの地方では死を呼ぶ尼の方が有名ですが」
都会から過疎地域の母の実家の村に引っ越してきた小川十裳美(ともみ)。十裳美は全生徒数9人の学校へと転校することになり、そこで同じ年の少年、藤原充男と出会う。充男はこの村の宗教家の跡取り息子だった。小さな村は古代宗教の信仰に支えられ、皆、仲良く、平和だった。しかし、時は、この古代宗教の村では運命の日が迫っていた──。
あなたが求めていたものは……
パチュリー・ノーレッジの事件簿
その夏、微かに空気が乱れた。病弱だったパチュリー・ノーレッジはその乱れを感じ取り、思わず呼吸を抑え込んだ。その乱れは微かだった…。人間がこの乱れに気づくことはないほどに…。
この幻想郷でかつてない事件が起きる。人間が次々に蝙蝠に襲われ、多くの人間が“ 永遠亭 ”に運び込まれた。その数は100、200と数を増す。やがて大雨が降り、大雨は紅い血の雨へと変わる。人間と妖怪、神々が住む穢れのない幻想郷に紅い血の雨が降ったのだ。この異常事態に“ 永遠亭 ”の主、蓬莱山輝夜は原因の究明と解決を試みる。しかし、蓬莱山輝夜はその“ なにか ”に返り討ちに遭ってしまう。不死の身体を持つはずの蓬莱山輝夜が死線をさまようほどの凶事件。その凶事件にパチュリー・ノーレッジが立ち向かう――。