神の皮を被った悪魔か。悪魔に化けた神か。
白いカラス
『白紙の国への入国を希望する者は、すべての社会的な繋がりを断ち切ること』
フリーのジャーナリスト、白鳥琥太郎《こたろう》に届いた一通の招待状。三河湾に浮かぶ白紙の国は、すべてを捨てた者だけが入国を許される禁足地《きんそくち》とされ、神隠しにでもあうのか、一度入ったら二度と出て来られないという、キナ臭い噂が後を絶たなかった。
出版社を辞めて、自由に書く理想を追った白鳥は、出版業界の最大手・五星《いつつぼし》出版で一つの部署を牛耳るべく、禁じられた地へと足を踏み入れる。
白鳥を待ち受けていた世界は、八百万の神が暮らしている想像を絶する新世界だった――。
七人の指先に宿る力は、希望か、絶望か。
この両手に抱えきれないほどの髑髏と薔薇を
代々『七人の魔女』と呼ばれる天手《あまて》家の姉妹。
末っ子として生まれた天手日向《ひなた》は小学校の卒業と同時に自宅の地下室に招かれ、そこで一家の「手」に宿る、秘された能力を知ることとなる。
日常と掛け離れた事態に戸惑う中、長女・柚月《ゆづき》から自身の能力による悲劇を語られ、宿命から一度は逃げようとする日向。
ところが、自分の手にはその悲劇を覆す力があると知り、日向は姉の笑顔を取り戻すこと、能力に惑わされずに自分らしく生きていくことを決意する。
そんな中、日向のもとに一つの任務が。過去に囚われたまま、再び悲劇に向き合う長女・柚月と、新たな力を手にし、姉の一筋の光となるべく突き進む日向。
二人は共に任務として依頼人の元に赴くことになるのだが――。
琴線に触れ、ページを捲る手が止まらない。『指切りげんまん、嘘ついたら――』、七人の指先に宿る力は、希望か、絶望か。